ク•ビレ邸の秘かな愉しみ

北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ(大阪市)の情報発信拠点「ク・ビレ邸」で開催されるイベントに関する極秘ニュース。決して他言は許されませんのでご注意あそばせ!

ジャジーでミニマルな極上デュオのライブ

◉邸主の妄言 PREVIEW◉

北加賀屋在住の松本有加(Piano & vocal)と藤井拓(Gut Guitar)によるハイブリッドなインスト・ユニット「基本むかしばなし」のライブ。ク・ビレ邸では毎月末、松本有加がオーガナイズする「ジャズ・ライブ」を開催している。彼女がボーカリストを招待して、スタンダード・ジャズ中心の演奏を披露してくれているのだ。今回はそれらとは趣向を変え、彼女がガット・ギターの藤井拓と組んでいる、オリジナル曲中心のインストゥルメンタル・バンド「基本むかしばなし」のライブである。

このバンドのサウンドには極めて視覚的な印象がある。視覚的な印象を残す音楽家と言えば、「展覧会の絵」を作曲したムソルグスキーや、「映像」というピアノ曲集を発表したドビュッシーなどが有名である。前者の音楽が、眼の前に飾ってある絵画の中に入っていくような感覚、つまり豊かな色彩とイマジネーションを帯びた曲だとすれば、後者のそれは、モノの輪郭があいまいになり、光と陰の美妙なゆらぎだけが網膜に焼き付くようなモノクローム的感覚にあふれている。

「基本むかしばなし」サウンドも視覚的ではあるが、これら偉大な作曲家の作品とは一線を画している。まずは彼らには、バンド名が示すように「ムカシっぽい」雰囲気がある。そこにはムソルグスキーの圧倒的な色彩美もドビュッシーの曖昧な映像美もない。あるのは紙芝居屋のおっちゃんがチャリンコで運んでくる紙芝居の挿画を眺めているような感覚である。大正時代に活躍した挿画家(現代でいうイラストレーター)、竹久夢二や高畠華宵の作品に通低するイマジネーション、つまり哀愁を洗練させた美学である。そして、またこれも彼らのバンド名が示すように「ハナシっぽい」、つまり少年少女向けの短編小説を読んでもらっている錯覚に陥る。時には探偵モノだったり、時には冒険モノだったり、時には王子様が現れる童話だったりする。

「基本むかしばなし」のサウンドには極めてビジュアライズされた感覚があるが、それは大作映画のBGMではなく、保険会社のCM音楽でもない。エンターテインメントでもなければ、癒しもない。あるのは、懐古的なフレーズや都市的なパッセージや幾何学的なアルペジオを混在させることにより、都会のビルディングや路地裏、パーティーの歓談や市場の雑踏、スピーディーな地下鉄や土手を走る自転車、これら相対する風景を一瞬のうちに、しかも同時に視覚化してくれるような錯覚なのである。

(文責・佐藤香聲

◉松本有加のジャズ千夜一夜 vol.4 – 基本むかしばなし

【日   時】2012年5月30日(水) 開場:19:30 開演:20:00 / 21:30

【料   金】1,500円(1ドリンクつき)

【問い合わせ】06-7492-7504(15:00 – 22:00)

【参照サイト】music–spirit

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