ク•ビレ邸の秘かな愉しみ

北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ(大阪市)の情報発信拠点「ク・ビレ邸」で開催されるイベントに関する極秘ニュース。決して他言は許されませんのでご注意あそばせ!

如何ワシイ日本文学に端正な一人芝居で挑戦

◉邸主の妄言 PREVIEW◉

90年代、関西小劇場演劇界に閃光を放ち、圧倒的な人気を誇った劇団があった。「惑星ピスタチオ」である。座長の腹筋善之介が繰り広げる「パワーマイム」なる身体表現が圧巻で、一見、エンターテインメントのようなステージではあるが、座付作家兼演出家の西田シャトナーが描く世界観は、地上のものではなく、はるか宇宙をも取り込もうとしていた。私は幸運にもこの劇団の音楽を担当させてもらい、彼らの舞台に対する真摯な姿勢を垣間みることができた。

「惑星ピスタチオ」の解散後、腹筋善之介は東京で「IQ5000」という奇妙な名称の劇団を旗揚げした。惑星ピスタチオの身体表現を継承しつつも、腹筋善之介が本来、描きたかったと思われる世界観を提唱している。それは人と人とのつながりや、それが強ければ強いほど切れやすいことへのイラダチ、ある種、不条理演劇に通底するドラマツルギーである。

久保田寛子(IQ5000)

このIQ5000の主演女優のひとりが久保田寛子だ。小劇場演劇の俳優と言えば、アクの強い、あるいは超個性主義が主流だが、彼女には「端正な」とか「凛々しい」とかの単語がサラッと似合う。悪くいえば「古臭い」のである。その古臭さは大正時代や明治時代、はたまた平安時代くらいまで遡るかもしれない。もう立派な「擬古典主義」的な女優である。そんな彼女がク・ビレ邸の古臭くレトロな雰囲気を気に入ってくれたのは言うまでもなく、時折、一人芝居をやってくれるようになり、早くも1年を迎えようとしている。

本人の手づくりチラシ

作品の題材はすべて日本文学からのアダプテーションで、これまで寺山修司、江戸川乱歩、泉鏡花、それに古典では源氏物語、道成寺を取り上げている。すでにここまで書くと、久保田寛子の趣味や趣向に気づかれた方も多いと思うが、これらの作家や物語に共通しているのは「幻想」「耽美」「異端」といったキーワードだ。どの原作も今では立派な文学作品として認知されているが、発表当時はヒトクセもフタクセもある、イカガワシイものばかりだ。

今回、彼女が取り組むのは太宰治の「きりぎりす」。主人公は売れない画家を懸命に支える妻。彼女は、しだいに画壇に認められ金満家になっていく夫を、疎ましく思い始め、分かれる決心をする。太宰のもっとも得意とする女性の告白文体で書かれた小説に、久保田寛子が一人芝居で挑戦する。

(文責・佐藤香聲

◉久保田寛子 月イチ一人芝居 vol.3「きりぎりす」(作/太宰治)

【日   時】2012年6月4日(水) 開場:19:30あたり 開演:20:00くらい

【料   金】1,000円(1ドリンクつき)

【問い合わせ】06-7492-7504(15:00 – 22:00)

【参照サイト】久保田寛子、雅の道へ

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