ク•ビレ邸の秘かな愉しみ

北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ(大阪市)の情報発信拠点「ク・ビレ邸」で開催されるイベントに関する極秘ニュース。決して他言は許されませんのでご注意あそばせ!

感性と理性が乖離した現代への溺愛的滋味

◉邸主の戯れ言 REVIEW◉

20世紀の初頭、美術ジャンルに大きな影響を与えたムーブメント「シュールレアリスム」を「あるスタイルをもった作品の組み合わせ」と考えれば、当時の人々には不可解だった作品も、現代においては感覚的には日常的なビジュアルアートとして受け入れられている。もはやアンドレ・ブルトンが宣言した「シュールレアリスムは、白昼のビル街にダイナマイトを仕掛けて、日常現実を転覆するようなものだ」というコンセプトに基づいた作品も、現代においてはビル街のオフィスやカフェ、ショッピングモールなどの空間に平然と鎮座していて、決して転覆も混乱も起こさない。

2Fの展示作品

タムラグリアの作品は一見して、シュールレアリスムに通底しているかのようにもみえる。それは表層的に、ある強烈なイメージや洗練されたスタイルをもったフォルムの組み合わせで構成されているからである。しかしながら、前述のムーブメント下にあった作品との差異を見出せるのは、この若いアーティストには転覆や破壊、暴行といった衝動はなく、自らが引用したイメージやフォルムの中に脈絡を導き出そうとする欲動があるからである。彼女自身のコトバを借りれば「人体の毛細血管、木々の枝、宇宙から見た山脈、どれも同じカタチに感じられる」から、それぞれのイメージやフォルムを引用し、そして組み合わせるのである。換言すれば、彼女はラジカルな感性だけではなく、ピュアな理性で作品を創造している。

1Fの展示作品

アンドレ・ブルトンの時代では言葉と意匠、つまり理性と感性が分ちがたく結びついていた。だから両者を解き放とうとするシュールレアリストたちの作品は衝撃をもって迎えられた。しかし現代では言葉はひたすら曖昧さから遠去かり即認識へと向かい、意匠はもっぱら曖昧なままで快適に接することを良しとしている。こんな時代、言葉と意匠、理性と感性が乖離してしまってる時代だから、タムラグリアは革新的な感性だけに頼ることなく、純粋培養された理性を総動員し、両者を結びつけようとする。その作品は「ほとんどやさしい」とまで言いたくなるような溺愛的滋味に溢れている。

筋金入りの現代アーティストかも知れない。

(文責・佐藤香聲

◉タムラグリア 個展

【日   時】2012年6月1日(金)〜13日(水)

       tea time:15:00 – 17:00

       bar time:19:00 – 23:00

       木曜定休

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