ク•ビレ邸の秘かな愉しみ

北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ(大阪市)の情報発信拠点「ク・ビレ邸」で開催されるイベントに関する極秘ニュース。決して他言は許されませんのでご注意あそばせ!

二胡と声をループするライブ・パフォーマー

◉邸主の妄言 PREVIEW◉

ク・ビレ邸の2013年、音楽ライブの第1弾は縁起がいいかも!で「二胡」を使ったボーカル・パフォーマンスである。二胡と言ってもピンとこない方は東北地方に伝わる楽器「胡弓」を思い浮かべてもらえれば、と思うのだが、それでもイマイチの方は中国の楽器とだけ覚えて、観に来てもらうだけでも価値があるだろう。演奏してくれるのは「二胡弾き語り」という独自のスタイルを追求し、関西を中心にライブ活動を展開している遠藤リョヲ。彼女の経歴だが、出身は岩手県。数年前までは、秋田県に本拠地を置く劇団「わらび座」のパフォーマンスバンド「響」に在籍し、舞台役者兼キーボード奏者として年間100ステージを越える全国ツアーに参加していたというから驚きだ。

ryo1その後、「二胡」という楽器に興味をもった彼女は、劇団を離れて単身関西で二胡演奏の研鑽を積むことに。やがてライブで演奏をするに至るのだが、ここで大きな問題は二胡が単音楽器であることだった。つまりバイオリンなどの弦楽器やフルートなどの管楽器を思い浮かべてもらえれば判るように、和音が出せない。ライブで二胡を演奏する、といってもメロディーを奏でるしかない。もっと重厚なサウンド・イメージを構築したかった彼女は、デジタル機器を駆使して二胡の単音を重ねていくことに思い当たったそうだ。つまりステージで演奏したメロディーをデジタル録音し、リアルタイムでスピーカーから繰り返し流す。そしてその音に合わせ、別のメロディーを演奏するのである。

もちろんこの手法は80年代のデジタル技術の革新により、多くのミュージシャンが挑戦しているので、ご存知の方も多いだろう。「ループ」や「カット・アップ」、「サンプリング」といったテクニックが有名で、これらの手法の生みの親的なミュージシャンで、現代音楽家のカール・ストーンがク・ビレ邸で演奏してくれたこと(「コンピューター音楽の繊細で曖昧な感触」2012.6)は記憶に新しい。私自身も自らの前衛演劇集団「銀幕遊學◉レプリカント」の曲をライブで演奏する際、これらのテクニックの一部を活用している。もちろんカール・ストーンからの影響が強いのは言うまでもない。

ryo2ハナシを遠藤リョヲに戻そう。彼女の「ループ」には、二胡だけではなく自身の声も使うとのこと。私はここにとても興味を覚えた。自分の声をデジタル録音し、スピーカーから繰り返し流す。それに新たな自分の声を重ねる。こうすれば一人二役、三役、四役、と限りなく積み重ねることが可能なのである。しかも彼女はあらかじめ録音した音源は一切、使用せず、ライブで発声したものを重ねる。つまりこれは遠藤リョヲの「一人芝居」かも知れない。演劇でいうところの一人芝居には一人二役や三役はよくあることで、私の知人・腹筋善之介に至っては「一人千人役」もやってのける。また遠藤リョヲが録音された音源を一切使わないという点も、演劇人からの発想でライブ感を大切にすることの表れだろう。

ここまで考察して、ようやく遠藤リョヲの「二胡弾き語り」のスタイルの片鱗が見えてきたように感じる。岩手出身の彼女の音感には、やはり東北の楽器で二胡に似た「胡弓」の音色があり、彼女が演劇人だった経歴から舞台上での発声を大切にする必然性が、独自の演奏スタイルを確立したのではないだろうか。まだまだ勝手な想像の範囲なのだが、当日、どんなライブが展開するのか、今からとても愉しみでならない。

(文責・佐藤香聲

◉遠藤リョヲ「二胡&ボーカル・パフォーマンス」

【日   時】2013年1月19日(土)開場:19:00 開演:20:00〜/21:30〜

【料   金】1,500円(1ドリンクつき)

【問い合わせ】06-7492-7504(17:00 – 22:00)

【参照サイト】二胡カタルシス。

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