ク•ビレ邸の秘かな愉しみ

北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ(大阪市)の情報発信拠点「ク・ビレ邸」で開催されるイベントに関する極秘ニュース。決して他言は許されませんのでご注意あそばせ!

言葉のナイフの切先で危機感と焦燥感を裂く

◉邸主の妄言 PREVIEW

ク・ビレ邸の関連施設であるアートスタジオ「藝術中心◉カナリヤ条約」で、オープン1周年記念として、「眼帶のQ」という舞台作品を上演することになった。大阪の小劇場界で人気を集めている若手劇団「レトルト内閣」の座付女流作家三名刺繍(みなししゅう)の台本を私、佐藤香聲が演出と作曲を担当する。

三名刺繍と最初に出会ったのは、2003年くらいで、当時、私が審査員を務めていた「チャレンジ・シアター」(主催・神戸アートビレッジセンター)という若手支援プログラムに、彼女の劇団が応募してきてくれたからだった。残念ながら彼女の劇団はそのプログラムに選定されなかったが、私は個人的にとても興味を覚えた。なぜなら彼女には、耽美的あるいは幻想的なイメージを愛するセンスと、従来のセリフ主体とする演劇に音楽や身体表現を取り入れようとする姿勢があったからだ。

アフリカン寺越

アフリカン寺越

もちろん私自身、1988年に自らのパフォーミング・アーツ集団「銀幕遊學◉レプリカント」を立ち上げた際、演劇に音楽のライブ演奏や映像を取り入れ、これまでにない舞台芸術作品を目指してきた。その後、90年を過ぎ、2000年代に入っても若い世代が中々、新しい舞台表現に挑戦しようとしない現状にヤキモキしていたのだか、そんな折り、彼女に出会って、すぐさま、自分が演出する舞台作品への出演を依頼したのは言うまでもない。

福田恵

福田恵

数年間、彼女は私の舞台作品に出演してくれたのだが、その後、自劇団の作品創造に磨きをかけ、やがて大阪を代表するくらいの人気劇団の地位を獲得するに至った。なんとも頼もしい限りだ。そんな三名刺繍から「台本を書くから、演出してもらえませんか」との打診を受け、即座に了承。数カ月を経て、初稿を読ませてもらった。そこには現代の都市生活者、30歳代の女性が共有するはずの「焦燥感」や「危機感」が珠玉の言葉の数々で痛々しく綴られていた。「この作品をどうやって舞台化するんだろう」と思いながらも「これが舞台化できたら、またひとつ新しい演劇の可能性を拓けるかも知れない」との熱情が沸き立ってきた。

山田まさゆき

山田まさゆき

この作品を舞台化するにあたり、出演者の選定には少なからず時間を要した。それがアフリカン寺越と山田まさゆきの男性俳優だった。前者はク・ビレ邸ですっかりお馴染みの久保田寛子と同じ劇団「IQ5000」に所属している怪優だ。眼光鋭く、身の丈もあるにも関わらず、妙に舞台上で華奢で神経質な演技をしてくれる。後者はサリngROCKという若手劇作家が主宰する「突劇金魚」に所属していて、小柄なわりには時として、爆発的なエネルギーを発散してくれる。

もちろん音楽はすべてライブ演奏する。俳優が観客の空気感を読みながら演技するのと同様、演奏もグルービィーなライブ感覚が必要だ。さらには舞台美術に、ク・ビレ邸で昨月(2013年2月)に個展を開いてくれた平野早依子に依頼。彼女の新作も今回の作品に「危機感」と「焦燥感」を視覚化してくれることは言うもでもない。

(文責・佐藤香聲

   戻っているのに進んでいる、進んでいるのに戻っている。
   踵が減って、いささか疲れが滲んでくることだけが、
   進んでいるという証拠ならば、
   進んでいるとは増加していくことではなく、
   ただ減少していることを指すのかもしれない。
   この果てしない生活の∞から、日常の@から抜け出すために、
   僕は目を閉じて、想像のナイフで永劫回帰に切り目を入れた。

   ナイフとはなんだろう。
   かつて「演劇とはナイフのことですよ」
   とそっと教えてくれたのは香聲さんだった。

                 (三名刺繍・台本ノートより)

◉鞦韆舘 presents 「眼帶のQ」
 台本:三名刺繍  演出・作曲:佐藤香聲

【出   演】アフリカン寺越(IQ5000)/ 山田まさゆき(突劇金魚
       福田恵(劇団レトルト内閣)  ほか

【ライブ演奏】佐藤香聲(keyboards / piano)/ 多賀聡(drums)
       服部正(sampler / gt / vc)

【日   時】2013年3月22日(金)開場・開演:20:00
            23日(土)開場・開演:15:30 / 19:30 ★1
            24日(日)開場・開演:14:30 ★2 / 18:30
       ※開場と同時に開演します。
       ※演出上の都合により開演10分後から20分間の入場をお断りします。
       ※上記★印の終演後、ゲストを招いてアフタートークを開催します。
        ★1:塚本修(舞台監督) ★2:広瀬泰弘(劇評家)

【料   金】前売:2,500円 当日:3,000円
       ※前売、当日共、全席自由

【会   場】藝術中心◉カナリヤ条約
       ※会場は「ク・ビレ邸」とは異なりますので、ご注意ください。

【問い合わせ】06-7492-7504(17:00 – 22:00)

【参照サイト】アートスタジオ「藝術中心◉カナリヤ条約

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